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 ローマ法王フランシスコのトランプ・アメリカ大統領候補に対する、「クリスチャンではない」発言は日本のメディアで大きく報じられました。しかし、この発言の後に行われたサウスカロライナでの共和党予備選ではトランプ候補が危なげなく第一位でした。これですが、フランシスコ法王はお見透しだったと考えたほうがいいと思います。敢えてこう発言することによってトランプ氏の援護射撃をしたと見てもいいぐらいだと思います。

 私は、個人的にローマ・カトリックに興味を持っています。 ローマ・カトリックは御存じの通りローマ帝国を事実上統治運営していた歴史があります。しかも一時期は世界を席巻していました。私はカトリックはRELIGIONと言うより国家だと思っています。それは、今回のフランシコ法王のトランプ候補に対する実に 政治的な発言からも感じられることです。そしてアルゼンチン出身のフランシスコ氏が法王になった背景には今日の中年米でのプロテスタントの成長があります。まさにプロテスタントへの牽制という政治的人事だった訳です。
 
 そしてもうひとつの理由は、「カトリック」と言うネーミングです。 これは普遍的という意味があります。これは我こそはキリスト教の本家本元であって正統である。と言っていることと殆ど同じです。国家には正統性が必要です。どの国家権力にも正統性を保有しています。日本の場合、選挙によって最も多くの議席を得ることが正統性の裏付けです。中国の場合は一部のヒエラルキーのトップから人民に権力を取り戻した実績が正統性の根拠です。カトリックも「カトリック」というネーミングに拘っていますから正統性を意識していることは明らかです。
 RELIGIONはその語源RELATIONから分かるように、関係を重要視します。RELIGIONからすれば正統性は、神のみぞ知ることであって、人間が決めることではない。人間はその神と関係を保つことこそ重要であって、正統性という考え方とは次元が違います。ですからカトリックはRELIGIONというよりも、国家的な組織だと認識しています。 しかし、プロテスタントでも正統性に拘るケースは多々あります。よく我々は「正統的なプロテスタント教会で・・・」みたいな教会案内を見かけたりします。。ですから決してカトリックならではの体質ということは言えません。人間の性なのだと思います。
 
 カトリックの1000年以上培われた政治力は凄まじいものがあるとみて間違いないでしょう。共産主義が台頭していた時代にはアメリカ文化を世界に浸透させるべく尽力していました。プロテスタント教国アメリカは実はカトリックと深い関係があるのです。最近でもロシア正教主教と962年ぶりのトップ会談を持つなど「政治的アクション」が多く見受けられます。 
 当ブログではカトリックに注目し、勉強をしていきたいと思います。

引用:キリスト教全史 E・ケアンズ著